子どもがいない夫婦の相続 対策!トラブルを防ぐための具体策についても解説
こちらのページでは、 子どもがいない夫婦の相続 におけるよくあるトラブルを防ぐための具体策等について解説します。
目次
1. 子どもがいない夫婦の相続 |法定相続人の基本ルール
1-1. 子どもがいない夫婦の相続 法定相続人の仕組みと配偶者の役割
遺産相続において、遺言書がある場合はその内容に従って遺産を分けます。しかし、遺言書がない場合は民法で決められた法定相続人が財産を相続します。 法定相続人は以下のように大きく2つに分かれます。
配偶者:常に相続人になる。
その他:次の順位に従って決まる。
1. 第1順位:子(孫・ひ孫を含む)
2. 第2順位:直系尊属(親・祖父母など)
3. 第3順位:兄弟姉妹(甥・姪が代襲相続する場合も)
例えば、夫が亡くなり子どもがいない場合、夫の親が存命であれば親が第2順位として相続権を持ちます。
1-2. 子どもがいない夫婦の相続 の具体例|配偶者と親、兄弟姉妹が相続人の場合
配偶者が相続する割合は血族相続人の種類によって変わります。
配偶者と親が相続人:配偶者が3分の2、親が3分の1
配偶者と兄弟姉妹が相続人:配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
6000万円の遺産がある場合、親が相続人なら配偶者が4000万円、親が2000万円を受け取ります。兄弟姉妹が相続人の場合、配偶者が4500万円、兄弟姉妹が1500万円を受け取ります。
1-3. 甥・姪の代襲相続もある
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子ども(甥や姪)が代襲相続します。ただし、兄弟姉妹の孫は代襲相続できないため注意が必要です。
2. 子どもがいない夫婦の相続 で起こりがちなトラブル
2-1. 遺産分割協議での親族間トラブル
配偶者と義理の両親や兄弟姉妹が相続人になると、遺産分割の話し合いが難航することがあります。特に疎遠だった親族との連絡や関係が悪い場合、協議がまとまらない可能性が高くなります。
2-2. 不動産の分割を巡る問題
遺産が不動産のみの場合、現物での分割が難しく、金銭での清算もできないためトラブルになりやすいです。
不動産の分割を避けるためには、不動産を取得する人が他の相続人に「代償金」を支払うことになります。
しかし、多額の代償金の支払いが困難なケースもあり、金額で争いになることも少なくありません。
3. 子どもがいない夫婦の相続 対策
3-1. 遺言書の作成|希望する財産分与を確実に
遺言書を作成することで、配偶者にすべての財産を相続させたり、特定の人に財産を渡すことが可能です。特に、遺言書がないと義理の親族と協議が必要になるため、事前の準備が重要です。ただし、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分(最低限の取り分)があるため、内容に注意する必要があります。
3-2. 生前贈与による 子どもがいない夫婦の相続 トラブル回避
生前に配偶者へ財産を贈与しておけば、その財産は遺産から外れます。 また、結婚20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、最高2000万円までの贈与税控除が適用されます。これにより、評価額2110万円以下の不動産なら贈与税がかからないため、配偶者への不動産贈与が有効な対策となります。
3-3. 生命保険を活用した資産の確保
生命保険金は遺産ではなく受取人の固有財産となるため、他の相続人と分ける必要がありません。遺言書があっても遺留分の請求がある可能性があるため、あらかじめ生命保険を契約しておくと安心です。
4. 遺言書作成時の注意点
4-1. 遺留分の権利に配慮する
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められる最低限の相続分です。例えば、親が相続人の場合、配偶者に全財産を相続させる遺言があっても、親は遺産の6分の1を請求する権利があります。兄弟姉妹には遺留分がないため、兄弟姉妹が相続人の場合は配偶者に全財産を渡すことができます。
4-2. 予備的遺言で想定外の事態に備える
「夫に全財産を相続させる」とした遺言も、夫が先に亡くなれば無効となります。このようなケースを避けるため、「夫が先に亡くなっている場合は〇〇に全財産を相続させる」といった予備的遺言を書いておくと良いでしょう。
参考記事:公正証書遺言 を作ったのにトラブルが!?気を付けるべきポイントを解説
5. よくある質問| 子どもがいない夫婦の相続 に関する疑問
Q1. 亡くなった夫と前妻の子は相続人になる?
前妻に相続権はありませんが、その子は第1順位の相続人です。現在の妻と前妻の子が相続人の場合、妻が1/2、前妻の子が1/2を相続します。
Q2. 相続税の配偶者控除とは?
配偶者が取得する遺産が1億6000万円以下、もしくは法定相続分以下であれば相続税が免除されます。ただし、税額がゼロでも申告は必要です。
Q3. 内縁関係の配偶者は相続人になれる?
内縁の配偶者には相続権がありませんが、遺言書を作れば財産を残せます。ただし、配偶者控除などの税制優遇は受けられません。
6. まとめ| 子どもがいない夫婦の相続 は、事前の対策でトラブルを未然に防ぐべき
子どもがいない夫婦の場合、配偶者がすべての財産を相続できるとは限りません。義理の親族が相続人になることで、トラブルが起こる可能性があります。
トラブルを避けるためには、遺言書の作成や生前贈与、生命保険の活用といった事前の対策が不可欠です。家族構成や財産内容に応じた最適な対策を早めに検討し、専門家に相談することをお勧めします。