任意後見 制度の仕組みと利用時の注意点を詳しく解説

こちらのページでは、 任意後見 制度の仕組みと利用時の注意点を解説します。

任意後見 制度とは?

任意後見制度は、将来判断能力が低下した場合に備えて、自ら後見人を選んでおく制度です。
法定後見制度と異なり、本人が判断力を失う前に契約を結べる点が特徴です。

成年後見制度の一部

成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあり、任意後見制度はその一つです。
判断能力が低下したときに、選んだ後見人が財産や身の回りの世話をするために、あらかじめ契約を結びます。

任意後見 制度の開始と流れ

任意後見制度は、本人がまだ判断能力を持っているうちに契約を結びます。
そして、判断能力が低下した際に、家庭裁判所に申し立てを行い、制度が正式に開始されます。

任意後見 の3つの種類

任意後見制度には「即効型」「移行型」「将来型」の3種類があります。

即効型 任意後見 の特徴

契約と同時に任意後見監督人が選任され、すぐに後見が開始されます。
軽度の認知症など、判断能力がやや衰えた段階で利用されることが多いです。

移行型 任意後見 の特徴

契約後、任意後見が開始されるまでの間、別途財産管理契約などを結んでおく方式です。
このため、任意後見開始前からサポートを受けることができます。

将来型 任意後見 の特徴

将来型では、後見が開始されるまでの間、つなぎとなる契約は結ばれません。
そのため、移行型に比べ、開始前のサポートが少なくなる可能性があります。

任意後見 制度と法定後見制度との違い

任意後見制度と法定後見制度は、後見の開始や後見人の選び方、権限などで違いがあります。
両者の違いを理解し、適切な制度を選ぶことが大切です。

任意後見 開始までの流れ

任意後見制度は、本人が判断力を持っている段階で後見人を選べますが、法定後見制度は判断能力が低下してからしか利用できません。
法定後見制度では、家庭裁判所が法定後見人を選任し、申立人(多くは親族)が後見人の候補を推薦できます。

後見人の権限の違い

任意後見人の権限は、契約時に定めた代理権のみで、同意権や取消権はありません。
法定後見人は、代理権に加え取消権も持っています。

任意後見 制度のメリット

任意後見制度には、いくつかのメリットがあります。

自分の意思で後見人を選べる

任意後見制度では、後見人を自分で選ぶことができるため、信頼できる人を選任できます。
これは、法定後見制度のように裁判所が選ぶ場合と比べて、柔軟性が高い点です。

制度設計の自由度が高い

契約内容を自由に決められるのも大きなメリットです。
生活支援や介護方針など、具体的な希望に基づいて契約を設計することができます。

後見人の報酬が抑えられる

任意後見制度では、後見人の報酬を事前に決めることができ、親族や近しい人を後見人にすれば、コストを抑えることが可能です。
一方で、法定後見制度では弁護士などの専門家が選任されるため、報酬が高くなる傾向があります。

任意後見 制度のデメリット

任意後見制度にも、いくつかのデメリットがあります。

任意後見 監督人が必要

任意後見制度では、後見監督人が選任される必要があり、その報酬が発生します。
報酬は家庭裁判所で決定され、年間約12万円以上の費用がかかります。

取消権がない

任意後見人には取消権が認められていないため、被後見人が不正な契約を結んだ場合でも、その契約を取り消すことはできません。
法定後見制度では、この取消権が認められています。

死後の事務ができない

任意後見契約は本人が死亡すると終了します。
そのため、死後の財産管理や事務を後見人に依頼することはできません。
これを補うためには、「死後事務委任契約」を別途結んでおく必要があります。

参考記事:終活 の一環としての「 死後事務委任契約 」について解説

任意後見 制度が向いている人

任意後見制度は、特に次のような方に向いています。

将来の認知症が心配な方

将来、認知症になる可能性に備えて財産管理をしっかりとしたい場合、任意後見制度は効果的です。
事前に契約を結んでおくことで、金融機関による口座凍結などのリスクを防ぐことができます。

自分で後見人を選びたい方

信頼できる人に後見を頼みたい場合、任意後見制度が有効です。
親族だけでなく、第三者を後見人に選ぶことができ、柔軟な対応が可能です。

任意後見 制度を利用する際の注意点

任意後見制度を利用する際には、次の点に注意が必要です。

信頼できる後見人を選ぶ

後見人に選んだ人が財産を使い込むリスクはゼロではありません。
信頼できる人を選ぶことが、安心した後見生活を送るための基本です。

複数の契約を併用する

任意後見契約だけではサポートが不十分な場合もあります。
「見守り契約」や「死後事務委任契約」など、他の契約と組み合わせることで、より手厚いサポートが可能になります。

任意後見 制度の手続きの流れ

任意後見制度を利用するための手続きの流れは、以下の通りです。

契約内容と後見人候補を決める

まず、自分のライフプランを考慮し、どのようなサポートが必要かを決めた上で、後見人の候補を選びます。
資産が多い場合は、専門家を後見人に選ぶのも良い選択です。

契約書の作成と登記

次に、公正証書として任意後見契約書を作成し、法務局に登記します。
契約内容が複雑な場合は、専門家に相談することをお勧めします。

任意後見 監督人の選任申し立て

判断能力が低下した際、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、制度が開始されます。
参考リンク:申立てをお考えの方へ(任意後見監督人選任) 東京家庭裁判所後見センター

任意後見制度は、自由度が高い反面、注意すべきポイントも多くあります。
メリット・デメリットをよく理解し、自分に最適な制度を選びましょう。

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